英国進出をご計画している日本の皆様へ

英国進出のきっかけ

実は英国に進出することは2015年の当時は全く考えていませんでした。当初は米国進出するために準備していたのですが、米国のビザで行き詰まっていました。そのような時に、英国領事館のE.M.氏と英国大使館のC.M.氏が福岡のDoreming Asiaにご訪問され、英国進出を促されたことがキッカケでした。

 

ロンドンへの短期出張を決め、英国総領事館のご配慮のもと、海外向けに投資誘致を行っている英国の非営利組織「London & Partners(L&P)」のR.K.氏をご紹介頂きました。R.K.氏からは会社立ち上げのために、会計士や弁護士含め、様々な方々をご紹介頂きました。

 

ご紹介頂いた中に、英国のフィンテック業界団体「Innovate Finance」のJ.H.氏が入っていました。当社の事業と志に共感頂き、Innovate Financeに入会。Innovate Financeが主催する最大のFinTechイベント「Global Summit」に当社ブースを設けて、欧州市場で初めてプレゼンしました。その際に、欧州でも当社のファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)事業に高い関心があることを肌で感じ、英国進出を決めました。

 

UK就労ビザにおける失敗談と教訓

教訓:登記前にUK就労ビザを取得してください。我々の経験上、ビザ取得前に現地法人を登記するべきではないです。また、「Tier 1 Entrepreneur visa」の取得を検討する場合は、資金源を確認するべきです。金融機関からの借り入れはNGです。

 

現在、英国では「Representative of an Overseas Business visa」を取得し、事業活動しています。「Representative of an Overseas Business visa」は「Sole Representative visa(ソールレップビザ)」とも呼ばれています。ソールレップビザは日本の親会社で、ある一定期間、重要なポジションを担っていることが必要です。親会社の命を受け、英国に支社/支店を立ち上げるためのビザになります。

 

UKビザ取得に関して2つ大きな失敗談があります。

 

① 最後になって、「Tier 1 Entrepreneur visa」の資格がないことが判明。

Tier 1 Entrepreneur visaは起業家ビザで、£50,000あるいは£200,000以上の資金を準備し、英国で起業するための起業家ビザになります。

Tier 1 Entrepreneur visaの資格が無かった理由は資金の源泉でした。事業資金を日本の金融機関から借り入れていました。しかし、Tier 1 Entrepreneur visaの場合、資金の源泉はあくまでも自己資金、またはイギリス政府あるいはイギリスのベンチャーキャピタルからの提供資金、あるいは家族メンバーから贈与された資金等になります。当ビザに関するガイドラインを読んでも、借り入れた資金でも事業のために「自由に使える資金」なので大丈夫だと解釈しており、分かりにくい点でした。

 

余談になりますが、Tier 1 Entrepreneur visaでは、要求されるドキュメンテーションが多く、その中でも犯罪経歴証明書は大変でした。東京で日本の犯罪経歴証明書を取得しようと警視庁に直接行ったのですが、門前払いされました。当時、英国領事館や大使館も知っておらず、まだあまり知られていないことですが、東京で犯罪経歴証明書を取得する場合は、先に警視庁に行くのではなく、外務省・領事サービス室・証明班のご担当者(当時はN.K.氏)にメールまたは電話(2016年5月時点:03−3580−3311)にて連絡する必要があります。我々の場合、2016年4月28日に連絡し、警察証明書特別発給申請のための取次案内書を頂いてから、早期発給のお願い(署名入り)をさせて頂いたにも関わらず、犯罪経歴証明書を警視庁にて受け取ったのが6月6日でした。

 

② ビザ取得の前に、現地法人をイギリスで登記していたこと。

ソールレップビザの場合に限りますが、現地法人をビザ取得前に自分の名前で登記していると、日本の親会社の支社(支店)以外に、別会社でも仕事をしていると見なされるので、ソールレップビザはおりません。基本的に、日本の親会社の支社・支店以外のポジションや仕事は認められません。そのため、会計士を使って、私を現地法人のダイレクターから外したり等、登記変更を余儀なくされ、余分なコストが発生しました。

 

UK法人口座開設における苦労話と教訓

教訓:イギリスの大手銀行8行にコンタクトを取りましたが、結局、我々が法人口座を開設できたのは、BarclaysとMetro銀行の2行のみでした。(Metro銀行のドキュメンテーションはヘビーでした。)

 

結局、Barclaysで法人口座を開設しました。担当マネージャーと2016年7月2日にお会いし、8月8日に開設できました。海外企業からのインバウンドのケースで、これはかなり早い方です。通常は、この2,3倍以上掛かります。一般的に、銀行の担当マネージャーとアポを入れるだけで2週間掛かるので、ご留意ください。

 

Metro銀行の法人口座開設の窓口は海外企業(インバウンド)の場合、E.K.氏になります。一方、Barclaysの窓口は多数あり、各マネージャーに裁量権があります。我々の法人口座開設を担当したBarclaysのマネージャーはR.S.氏で、Metro銀行よりもはるかにドキュメンテーションが少なかったです。

 

法人口座開設に最低限必要なドキュメント

 ・パスポート

 ・ビザ

 ・ビジネスプラン

 ・現地の家の住所

 ・家の住所を証明できる文書2つ(光熱費の明細やCouncil Tax:住民税など)

  ※日本(海外)住所はNG。文書には会社名ではなく、「個人名」と「家の住所」が明記されている必要があります。我々は会社名義で賃貸契約したので、不動産業者が会社名で光熱費や住民税を登録してしまい、不動産業者に個人名に修正して欲しいと要望する必要がありました。確認のために、電力会社にも連絡しました。この確認作業は非常に重要です!英国は、日本と違い、お願いしても、やっていないことが多々あるので...

 

ビザ無しで、法人口座を開設する事は100%出来ません。

現地で様々な方法を試しましたが、無理でした。唯一の方法は、イギリスあるいはEU圏の人を現地で採用し、現地の従業員を通して法人口座を開設する事でしたが、当時はそこまで信頼できる人が見つかっておらず、躊躇しました。

 

※会社の住所ではなく、家の住所と家の住所を証明する文書が2つ以上ないと、100%法人口座は開設できません。

したがって、家を借りるために家を探し、賃貸契約を交わし、1ヶ月ほど待って光熱費の明細を事前に取得する必要があります。(日本みたいに1ヶ月後、電気代の明細を待っても、勝手に送ってくれないですよ!電力会社によって違うかもしれませんが、最大手EDF Energy社の場合、EDF Energy社のサイトに行って、自分のアカウントを作成し、自分で電気メーターに表示されている電気代の数値を見て、オンライン上でその数値をSubmit(提出)しなければ、電気代を支払う事は出来ないし、明細も手に入りません。)

また、英国で個人口座もない、クレジットヒストリーもない、日本から来た、しかもスタートアップの人間に誰が家を貸してくれるでしょうか!?

我々は不動産の仲介業者にビジネスプランを説明し、1年契約の半年分を前払いすることで賃貸契約が出来ました。それでも、これはレアなケースみたいで、ほとんどの場合、不動産業者や大家さんは拒否するそうです...

 

なぜ、BarclaysとMetro銀行では法人口座が開設出来て、残りの6行は出来なかったのか?

法人口座開設が出来なかった理由は大きく3つに分かれます。

  1.スタートアップ企業には、基本的に法人口座を開設していない。

   (£2M以上の売上げが直近3カ年で見込めない。)

    HSBC、AIB(ロンドン)※AIB(アイルランド)は可

  2.主要株主が日本人(外国人)で、UKビザを保持していない。

   (英国の住人でない。)

    NatWest、TSB

  3.アプリケーションを提出したのに、返事すらして来ない。

    Lloyds、RBS

   (RBSは電話で問い合わせた所、英国で最低限2年間のオペレーション実績が必要。)

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